手に取る宇宙
01

アートプロジェクト
手に取る宇宙のはじまり

宇宙は私たちのいる地球の周りにあって、
空の彼方に何百何千光年と広がっています。

星空を見上げていたある日、ぽっかりと空に穴が開いて、
宇宙が私に向かってしっぽのようにするするとのびてきました。手をのばし引っ張ると、
しっぽの先はちぎれて私の手元に残りました。それをしばらく見つめていると・・・
丸い地球の上に立ち、手の中で宇宙をのぞき込んでいる私自身の姿が見えたのです。

当然こんなことは起こりえない、アーティストの想像世界のおはなしです。
そこで私は、宇宙飛行士にお願いすることにしました。
宇宙のかけらをつかまえて、地球に持ち帰ってもらえないでしょうかと。

2010年9月、そしてこれが本当に起きたのです。

02

宇宙でのミッション

手に取る宇宙~Message in a Bottleの一回目のミッションは、
2010年9月15日(水)午前0時25分(日本時間)、
NASA女性宇宙飛行士、シャノン・ウォーカーによる
「私たちは人類の代表として、 これから行う船外活動に於いて、
このボトルに宇宙を取り込むことを宣言します。
そして人類すべての冒険の記念として、また、未知なるもの、
驚きに満ちたものへの思いを込めたメッセージとして地球に持ち帰ります。」
という声明とともに始まりました。

そして、2011年3月1日(火)午前6時43分(日本時間)
国際宇宙ステーションにドッキングしていたスペースシャトル、ディスカバリー号 から、
「ヒューストン、もし良ければこれから私たちはスティーブをエアロックに帰させて、それから・・」
という声とともに、あらかじめ用意されていた80年代のロックグループ、
「ポリス」の曲、「メッセージ・イン・ア・ボトル」が流されました。
NASAの宇宙飛行士、スティーブ・ボーエンとアーヴィン・ドゥリューの二人は、
この曲を合図に「手に取る宇宙」のボトルをエアロックから持ち出し、
宇宙を詰めて栓をしっかり締めたのを確認後、記念撮影を行いました。
このボトルは、ディスカバリーとともに地球に持ち帰られました。

©松井紫朗/JAXA

「ガラスボトルは、スペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-133ミッション)に搭載され地上に回収され、
4月19日に筑波宇宙センター(TKSC)まで輸送されました。
しかし、TKSCにおいて開梱したところ、ガラスボトルが破損していることが確認され、
“宇宙空間”をガラスのボトルに封じ込めて持ち帰ることができなかったことが分かりました。」
(宇宙ステーション・きぼう広報。情報センター)

オフィシャルなレポートを以下で見られます。


©松井紫朗

©松井紫朗/JAXA

手に取る宇宙~Message in a Bottleの二回目のミッションは、
一回目のガラスボトルの破損の原因究明の結果を受け、
船外活動の際に予想されるボトルが受ける衝撃をなくし、
より安定したロボットアームの操作により取り込むこととなりました。
「こうのとり」3号機に搭載されに輸送されたガラスボトルは、「きぼう」船内で、
2012年年9月21日(金)(日本時間)に
星出宇宙飛行士により親アーム先端取付型実験プラットフォーム
(MPEP:Multi-Purpose Experiment Platform)に取り付けられ、
同10月4日(木)深夜に、「きぼう」ロボットアームに把持されたMPEPとともに宇宙空間に運ばれ、
ガラスボトルへの“宇宙の取り込み”を行いました。

その後、ガラスボトルは「きぼう」のエアロック内に保管されていましたが、
2013年1月25日(金)19時~20時にかけて、
マーシュバーン宇宙飛行士により「きぼう」船内への回収作業が実施され、
“宇宙空間”のガラスボトルへの封じ込めが完了しました。
マーシュバーン宇宙飛行士は、今回のボトルケースに「250113」とサインしています。
この2回目のボトルは2013年3月にドラゴン宇宙船によって地球に回収されました。

03

地上でのミッション

「Message in a Bottle~未来の人類にメッセージを送ろう!」
みなさんには実際に地球に持ち帰られた、宇宙の入ったガラスのボトル、「手に取る宇宙」を手にしてもらい、
その経験を通して感じたこと、心に浮かんだことを書きとめてもらいます。
それらは、他の人が書き記したものと共に未来の人類に向けたメッセージとして、
ウェブ上のノートブックに送られ、保存されていきます。

STEP.1

ボトルを
手に取る

STEP.2

心に浮かんだ事を
用紙に書き留める

STEP.3

書き留めた用紙を
未来に送る

STEP.4

書き留めた用紙を
タイムカプセルに
保存し持ち帰る